地域住民が主人公の文化ホール運営

初代 ひがしうら文化館館長   内海  孝

  行政姿勢として、「住民参加」を謳っている町は数多いと思うが、具体的に「住民参加」を図り、成功に結びつけた例は数少ないのではないかと思う。

 関係者である私の立場から言うのも変な話だが、決して自分が発想をして、産みの苦しみを経験した結果として今の状態に至っているわけではないので、自慢をさせてもらうことにします。

 私たちの町は、人口8,700人余りの淡路島の北東部に位置する、高齢化率が25%に達している、どちらかといえば過疎の町です。

 その町に、ふるさと創生資金の利活用をめぐって「住民参加」を図り、まさしく住民と行政の協働で「図書館と文化ホールとギャラリー」を併設した「ひがしうら文化館(愛称:サンシャインホール)」が平成9年6月1日に誕生した。

 従来、行政が「住民参加」を呼びかける形は、あらかじめ行政サイドでシナリオを描き上げて、それに対して、各種団体の代表者や地域の顔役に意見をお伺いするといった、いわばパフォーマンス的な色合いが強かった。

 しかし、「サンシャインホール」づくりに関しては、町民はもとより、町外の人々にも、図書館やホールに思いを寄せる人であれば、誰でも参画をしてほしいという思いで「住民参加」を呼びかけた。

 集まった人々の中には、財政厳しい中「ホールや図書館は本当に必要なのか。」という、建設の是非に及ぶ意見を持った人もいたと言う。

 極めつけは、行政サイドが提示していた建設場所の変更である。行政側は、役場の隣接地を建設場所として準備を進めていたが、「住民参加」で集まった人々(「組織名=創造委員会」)の意見で、現在の地に変更となった。その最大の理由は、「役場の側だと、利用者が堅い感じがして集まりにくい・・・。」だった。その思いを取り入れての、建設場所の変更となったわけです。

 さらに、建設費も当初予算の16億円から25億円へと膨れあがった。

  まさに、住民の手で作りあげた「文化ホール」と言えます。したがって、オープンした後も、この「創造委員会」のメンバーは、事業の企画や運営に積極的に係わらざるを得ないし、係わることで、自分たちで産んだホールというハードを、ソフト面で育てることに喜びを抱く結果となっている。

 とかく行政は、ハードには力を入れるがソフト面の手だてが薄いといった批判に晒されることが多いが、「サンシャインホール」に関しては、出来てからの運営を見通した事業展開だったことがうかがえる。 私は、この施設でオープン以来、館長として仕事をさせてもらっている。若干の苦しみもあるが、実に満ち足りた日々を過ごさせてもらっている。

 「サンシャインホール」が、住民の手によってすくすく育つことを願って、仲間の職員と共に、これからも精進していきたい。